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主にゲーム記録用。 俺の屍を越えてゆけの二次創作文字系サイトです。 ダラダラとプレイ記録を綴っております。 基本的に妄想語り有り、注意! そういうものがダメな方はUターンをお願いします。 更に言うと超不定期更新&完全自己満足BLOG。 色々とご注意下さい...。当然ながら誹謗中傷禁止。

11.24.03:40

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12.02.01:58

千里と穂積  その弐


ふと気が付けば、息子の元服は来月。
他の親ならば、目に見る事も叶わぬだろうその儀式。

千里より年下だった人が旅立った。
彼女は、その亡骸を観る。
何を想うのか。

世代を変える一族のその一時を見れる存在として。
与えられた二年という歳月を。



のとある一族の小さな記憶の欠片。
その一つのお話。

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◆千里

母の元から、この家へ来て。
やる事は至極簡単で、難しい事。

道は一つだけ、鬼を斬り仇敵たる者。
即ちは『黄川人』をこの世から、

抹殺する事。

そして初代の頃からこの身を蝕むと云う、
私達に宿る二つの呪いを解く。
そうやって、私達は生き、
次への礎に成って、死んでいく。

父は言っていた、今はまだ過渡期だと。
幼い私には理解出来はしなかったが、
それも二月三月とすぎた頃には、
理解出来始めていた。

私達の実力が如何程にまで達しているのか、
その真実はまだ知れない。
・・・いや、今すぐ地獄に降り立ち、
彼と争うたのならもしかしたら、
勝る事は、可能なのかもしれない。

私は苦悩する。
今、を取るか、
それとも、先を見据え、
今は「まだ」とするのかを。

グルグルと脳裏に『之から』を思いながら。

1.

「はぁ……、冷えるなぁ」

最近、始めた散歩。
気分転換という名の。
討伐隊の現役を退いて暫く。
暇を持て余し気味だった私に、
イツ花が薦めてくれた一人の散歩。
最初こそ、性に合わないと思っていたのに、
何の事は無い、何時からかは覚えていないけれど、
思考癖のある私には、これ以上無い位、
その行動は合っていた。

にしても、朝がこんなに冷えるものだなんて。

「べべの一つでも引っ掛けて来るんだったかも…」

そう想っても、母屋の屋根は眼下にある訳で、
戻るにはちょっと距離があるんだなこれが。

2.

幼かった頃はまるで走馬灯の様に過ぎて行き、
気が付けば、私の指に嵌る当主の証の指輪。

「早いもんね、
 こないだまで父さんの指に嵌ってたのに…」

思い出すのは大きな父の手。
ごつごつしていて皮が分厚くて、
けして綺麗とはいえなかったけど、
とても素敵で、優しいあの手の指に、
"コレ"は、在った。

「当主に抜擢されたのには驚いたけど…、
 それ以上に、業務をこなせれた自分に、
 びっくり、かな……」

どちらかと言えば、頭を使うよりも、
体を動かす事が得意で、一族の女児より、
男児と遊ぶ機会の多かった“アタシ”が。

「出来るなんて想わないじゃない?
 ねえ……」

自分の手を見て。
指輪に語りかけるみたいに、苦笑する。
逆手で撫でた其れは朝の空気に溶けた様に、
冷たくなっていた。



◆穂積

「穂積サマ~!当主サマを何処かでお見かけ
 しませんでしタぁ?」

「………またかよ、しゃーねえな......」

「朝餉の支度が出来ましたンでェ、
 お呼びしようと 離れに行ってみたら、蛻の殻でしタ」

最近、良く消える千里。
元々、何かといえば姿が有ったり、
無かったりはしていたが、最近益々その気が、
強くなりやがった、お陰でイツ花との、
この遣り取りも、好い加減飽きてきたってもんだ。

「ったく、散歩に嵌るタァ…ちっとばかし老けたん
 じゃねえの?アイツは……」

「穂積サマぁ?――そういう事を仰られますと、
 イツ花が、千里サマの誘導尋問に、
 引っ掛かっちゃった時に痛い目見ちゃいますよォ?」

「引っ掛かっちゃうんじゃなくて、
 引っ掛かった振りして密告してんだろーが、バーカ」

「エヘヘー。」

千里こと、現当主こと俺のお袋と、
イツ花は気が合うらしくとても仲がイイ。

二人で結託して、家ン中引っ掻き回す程度にゃ。
そんな訳だからして、舌を出しているイツ花を横目に、
玄関から、俺は逃げる素振りで外へと出た。

「兎に角、時間ねーんだろ!一っ走り行ってくらァ」

「はい!いってらっしゃいませ!!」

元気良く、朝の晴れ空へと響くイツ花の声。
そして、玄関脇で頭を押さえて蹲る砕牙兄ィ。
昨日の夜、お袋に煽られた酒が、
まだ、効いているらしい。

「イツ花~っ、声がデカイ…頭に響―イタタタ…」

「も~っ、砕牙サマぁ!御弱いのに当主サマと、
 酒盛りガチ対決とかするからデスよぉ」

二人の遣り取りを背にして俺は山道を進む。

1.

『覚えときな穂積、
 私等の一族が成す事は未だ過渡に過ぎない、
 この戦が全て終わった時の為の策は、
 まだ半ばって事だ』

何時しか、あの人の一人称はアタシから、
”私”へと変化していた。
少なくとも俺がこの家に来た頃はまだ、
アタシと名乗っていた様に想う。

『戦を終わらせるだけじゃ、ダメなんだ。
 終わらせた後に、"私達の居場所”が無ければね』

もしかしたら、
あの俺の訓練をつけてくれてた時から、
悩んでは居たのかもしんねえ。
俺ァ、考えるのは苦手だし、
そんな事、気が付いても無かったけどよ。

とはいえど、あんな事を言われ続けて、
最近に至っては、一人でこそこそ出かけちまう訳だから。
流石の俺も、何か悩んでるのは丸見えっつーもんだ。

「んだが…、今日も何処まで足伸ばしてんだか…、
 好い加減、ご先祖サンも、
 敷地が広すぎるってモンだぜコリャよ…」

山一つって言うところが、洒落てない。
初代の親っていう、源太っつー人が、
どんなもんの人だったとか、そんな事は、
之っぽちも知らねーが、此処が無駄に広いっつうのは、
頭の悪ぃ俺にも解らあ。

奴の散歩道は、大概決まっちゃ居るが、
戻ってくるまでの時間にバラつきが有り過ぎる。
何処で道草食ってんのかは、知らねえが――。

「何時もの場所に居てくれー!
 討伐前から疲れんのは、マジで御免だ……」

母屋が見下ろせるその高台へと俺は急いだ。



◆千里

「ちーさーとーーーーーーっ!!!!!
 朝飯出来たってェッ!!」

元気なのが来た。
誰に似たのか、いや私か。
その通る声が先に歩いてきた道の方から響いてくる。

「解ってるよ!御天道さんも観えて来たし、
 戻ろうとしてた所さ!!」

流石に、唯でさえ朝早いイツ花を、
無駄に叩き起こす気にはなら無いから、
何時も黙って出て来るんだけれど、
流石に書置きの一つでも、
残してきた方が、良いかも知れない。

そう想いつつ、毎度、忘れてるんだけどね・・・。

「ったく、アンタが此処に居なかったら、
 又、俺が朝からへばるってんのに・・・

 ――ああ、そうだ。
 砕牙兄ィ…、昨日のがすげー効いてるみてぇだぜ?」

討伐隊は引退だっても、加減してやれよ。
呆れ返る息子の声、それに苦笑いしつつ答えようか。

「へばるへばるって口で言っても、
 結局ケロリとしたもんなんだ、
 ちょっとした、準備体操とでも想っておいで」

実に何時もの会話だ、今日も恙無い。

「あの子もちょっと突付くと、
 直ぐムキに成るからねぇ…
 面白くて、からかい過ぎちまっただけさ」

「まぁ、兄ィもいい年して…とか想うけど、
 千里の挑発ァ、何時もマジ過ぎんだよ……」

何時でも手を抜かないのが、私の強みで弱み。
又、父の言葉が頭を掠める。
当主になって、人生も四分の三程度生きても尚、
根本は幼い頃のまんまかね、コリャ。

思わず笑い声が漏れた。
急に笑い出した私に、息子が眉根を寄せたのが、
目の端に映り込む。

怪訝な顔するんじゃないよ、大丈夫まだボケてない。
其処まで考えて、穂積を、何となくみやる。
汗一つ、息すら切らしていない相手。
ふと気が付く、この子は――。

「アンタ、そんなに背ェ高かったっけ?」

「あん?――ぁー、最近ドンドン目線が高くなってく
 から成長期なんじゃねーの?

 親父も莫迦ミテェに背高いし。」

アソコまで伸びなくても、
とは思うが、穂積も考えてみれば、それなりに背は、
高くなるってもんなんだろう。

「そういえば、そうか…道理で首が疲れるはずだね」

「アンタが低過ぎるって話も――イッテェッ!?」

「だ・ま・れ……いいんだよ!私は父似なんだからね」

幼い頃の私は余り気にしては無かったけれど。
父は、余り背丈の有る人ではなく、
その性質を強く受けついだのか、
私も背は、今の家族じゃ一番低い。

そう、別に身長なんて、気にしてないんだよ。
ただ上から見下ろされると、無性に腹が立つだけさ。
良く分からない言い訳をする胸中と、
全自動で、無駄口を叩く奴の尻を蹴飛ばして居る、私。

「~~~~ッ…って、
 爺さん、そんな背ェ低かったんか……」

「滅多な事言うと、
 遠征中土砂降りに成るよ…アンタ」

今の父は、天界で【水神 魔神宇治川】と呼ばれている。
早い話、あの人に背の話は鬼門だった。
からかわれて、良く真名姫をぶっ放していたのはイイ…、
―――イイ?想い出。

凄かったなー父さんの真名姫、流石に親神の術だけあって。

「ハ……マジで?
 行くってもどうせ墓か地獄じゃん…?」

「情念っていうのは時と場所を選ばないもんだ……。
 多分、って、ほら!! 言ってる傍から、
 雲行きが怪しいねぇ―――走るよ、穂積!!」

「チョッ……待て!!――俺を置いて、
 じゃねえ飯に有りつけなくな・・・―、オイ!!」

そう、其れはもう、空から滝が降り注いでる様に、
一気に暗くなった空を見上げて、二人で走り出す。
こんな事を言ったら、穂積は怒るだろうが、
“アタシ”に似たんだね、頭が悪いトコなんて特に。

どうせ、何を悩んでるんだーとか、
聴く積りだったんだろうけど。
まだまだ、甘いよ――。
ほくそえんだまま、坂道を駆け下りて。
予想通りに降り始めた雨を避ける様に、母屋に転がり込んだ。

「御免ね、穂積――。
 もうちょっと考えさせてよ、
 私が逝くまでには皆に話すからさ」

私の声が聴こえているか定かじゃないが、
後ろから転がりこんで来たこの子に、小声で、詫びた。

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相変わらず何を言いたいのか解らない駄文、散文。
イツ花の性格が良く解らんorz

まぁ、あれだ。
魔神宇治川様、そろそろ大人になってくだs――。
(濁流に飲まれる狸の図)

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